そもそも、M2ってなんですか?

2025/03/04

ソフトウェア



M2(ビーム品質係数)とは?

M2は、実際のレーザービームの「理想からのずれ」を表す無次元パラメーターです。
M2値が低いほど、ビームを小さなスポットに収束させることが可能になります。

理想的なTEM₀₀モードのレーザービームでは、M² = 1となります。しかし、現実のレーザービームは完全なものではありません。レーザー共振器、発振媒体、出力・補助光学系の制約により、ほとんどのビームは教科書にあるような「回折限界のガウシアンプロファイルの純粋なTEM₀₀モード」ではありません。複雑なビームでは複数のモードが混在し、M²が増加します。

たとえば、研究室で一般的に使用される良質なHeNeレーザーでも、M2は1.05~1.2程度であり、「完全なTEM₀₀ビーム」の1.0にはなりません。

最も単純な定義では、M2は次のように表されます:M2 = (Θ / θ)
ここで、Θは実測された遠方場での全角発散角、θは同じウエスト径を持つ理論的な回折限界TEM₀₀ガウシアンビームの遠方場発散角です。

M² ビーム品質係数

なぜM2が重要なのか?

品質保証(QA)の基準

レーザーやレーザーシステムの納品・受け入れ時に、M2は品質を判定する指標として用いられます。

理論値とのズレの理解

実際のレーザービームの焦点スポット径が、理論上の計算よりも大きくなる原因を把握するうえで不可欠です。

ビーム伝播の不変特性

M2は、理想的な光学システム(ビームの歪みや切り捨てが発生しない系)内でのレーザービーム特性を示す不変量であり、システム内のどの位置でもビーム品質を評価する指標になります。

ISO 11146への対応

M2測定を任されたり、ISO 11146規格の内容を理解する必要がある場合にも必須の知識です。


ISO 11146とは?

ISO 11146は、国際標準化機構(ISO)が制定したレーザービーム特性の測定・評価に関する国際規格です。
ビーム径やビームウェストの位置、ビームの拡がり(発散角)などのパラメータを統一的かつ正確に測定する方法を規定しています。
特に、ビーム品質指標であるM2値(ビームプロパゲーションファクター)の測定方法について詳しく示しており、レーザ装置の品質管理や性能評価に広く用いられています。


DataRayのM2測定ソリューション

DataRayは、M2の測定に対応したカメラシステムおよびスリットスキャニングシステムを提供しています。

❶ BeamR2、またはWinCamDM2DU-50/200移動Zステージに設置し、ビームウエストを通過させることでISO 11146準拠の測定を実施。
➋ BeamMap2 : 特許取得済みのマルチプレーンスキャンシステムを活用し、リアルタイムでM²を算出。


❶ 移動Zステージを用いた単一平面測定システム【ISO 11146準拠】

イメージ

ISO 11146規格では、ビームウエスト周辺で複数の平面(5箇所以上)、および遠方場で複数の平面(5箇所以上)における第2モーメントビーム径の測定を求めています。通常、この測定には単一平面のビームプロファイラーをZステージ上で移動させる必要があります。

DataRayのモジュール式システムは、M2測定において究極の柔軟性を提供します。スプレッドシートを活用し、
最適なM²測定構成を選択できます。

  • カメラベース、またはスリットスキャンベースのビームプロファイラー
  • レンズの選択
  • 50 mmまたは200 mmのロングトランスレーションステージ
Lens Choice for M2 Measurement

対応製品

M² 測定用 自動ステージ (50mm / 200 mm) M2DU-50 & M2DU-200

M² 測定用 自動ステージ(50mm / 200 mm)
M2DU-50 & M2DU-200

WinCamDシリーズ、BladCam2シリーズ 等のカメラタイプのプロファイラーやBeam'R2と組み合わせて使用することで、M² が測定可能。
- 解像度:1 µm以下
- DataRayソフトウェアによる制御
- RoHS & CE準拠

WinCamD-LCM

1インチ CMOS
ビームプロファイラー WinCamD-LCM

パルスビーム & CWビームに対応し、幅広いM²測定が可能。
- 波長範囲:355 ~1150 nm
 (UV, 1350nm, NIRオプションあり)
- センサーサイズ:最大11.3×11.3 mm
- 最小測定 BD 55µm

Beam’R2

XYスリットスキャン型
ビームプロファイラー Beam’R2

高解像度(0.1 µm)の単一平面スキャニングシステム
波長範囲:190~1150nm(Si)
     650~1800nm(InGaAs)
Si とInGaAs 両ディテクターを搭載した場合に限り、2.5 µmまで感度を持つInGaAs(extended)ディテクターを搭載可

WinCamD-QD

量子ドット SWIR
ビームプロファイラー WinCamD-QD

WinCamD-IR-BB

2-16 µm中赤外 / 遠赤外線対応
ビームプロファイラー WinCamD-IR-BB

BladeCam2-HR

1/2インチ CMOS
ビームプロファイラー BladeCam2-HR

BladeCam2-XHR

1/2インチ CMOS 高解像度
ビームプロファイラー BladeCam2-XHR


➋ リアルタイム M2 測定

BeamMap2TMは、特許取得済みの高解像度(0.1 µm)XYZΘθ測定システムです。
リアルタイムでM2測定、ビームアライメント、発散角、ビームウエスト位置とサイズの測定が可能です。
BeamMap2には2つのバージョンがあります。

対応製品

BeamMap2

フォーカスビーム用
XYZΘ⌀スリットスキャン型
ビームプロファイラー BeamMap2

スリット平面間隔 50、100、250、500、750 µm から選択可能。

BeamMap2-CM

ColliMateTM バージョン
コリメートXYZΘ⌀スリットスキャン型
ビームプロファイラー BeamMap2-CM

ほぼ平行なビームの測定に対応し、平面間隔は5 mm。

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