ロックインアンプ 原理 解説


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ロックインアンプとは

ロックインアンプとは、周波数 ωS = 2πfS をもつ周期的信号の振幅ASと位相θを、測定信号を参照信号と比較することにより、測定する技術です。
この技術は、位相敏感検波 (PSD:Phase Sensitive Detection) と呼ばれます。
この方法では、検出信号を時間的に平均化することにより、信号の信号対雑音比 (SNR) を桁違いに改善することができます。
微小信号を高精度に検出できることから、ロックインアンプは、信号再生に多用されるツールとなっています。

信号再生および位相敏感検出の双方のため、測定対象となる信号は、狭帯域フィルタによって分離され、その結果、測定信号へのノイズの影響を低減します。
図 1 に、基本的な測定セットアップを示します。
参照​​信号Vr は、被試験デバイスにも供給されます。
この参照信号は、一般的な非線形デバイスでは、減衰、増幅、位相シフト、
及び歪みによって変形され、V S = A S COS (ωS t + θS) + 高調波成分 という信号になります。

図 1. ロックンアンプを使用した基本的測定セットアップ
図 1. ロックンアンプを使用した基本的測定セットアップ


実際には、ロックインアンプは、帯域フィルタによる信号分離を、図 2 のように、ミキサーとローパスフィルタという手段を用いて行います。
ミキサーは、対象信号を低周波 (理想的には DC : ωS = 0)と高周波に分離し、ローパスフィルタが、不要な高周波成分をカットします。

図 2. ロックインアンプにおける、ミキサー及びローパスフィルタ 概念図
図 2. ロックインアンプにおける、ミキサー及びローパスフィルタ 概念図


ミキサーは、入力信号 VS (t) に、参照信号 Vr (t) = 2 eを乗算します。
ここで、ωr = 2πfr は復調周波数(参照信号の周波数)、i は虚数単位を意味します。
これは、直交復調器の成分を形成する、sin信号とcos信号(90° 位相シフト)の複素表現で、測定信号の振幅と位相を測定可能にします。
原理的には、測定信号には、どのような周波数の参照信号でも乗算でき、ヘテロダイン動作も可能です。
しかしながら、ロックインアンプの本来の目的が、周波数を出来る限りDCに近づけることであるため、測定信号と参照信号の周波数は、出来る限り近い値を選択します。
文献などでは、この方法は、ホモダイン検出、シンクロダイン検出やゼロ-IF ダイレクト変換などと呼ばれます。

乗算の結果は次のようになります。

式 1. 測定信号 s と参照信号 r の乗算
式 1. 測定信号 s と参照信号 r の乗算


この結果は、低周波成分 (周波数 = ωS - ωr) と高周波成分 (周波数 = ωS + ωr) を持ちます。
復調された信号は、〈・〉のシンボルで表記される、無限インパルス応答 (IIR) RCフィルタにより、ローパスフィルタされます。フィルタの周波数応答 F (ω) は、高周波成分 F (ωS + ωr) を減衰させつつ、低周波成分 F (ωS - ωr) を透過します。ローパスフィルタのもう一つの機能は、平均化を行うことです。

式
式2. 信号乗算の平均化結果


ローパスフィルタ後の信号は、復調された信号 X + iY で、X 及び Y は、各々、複素平面上に表示される、実部、虚部です。
これらの成分は、また、同相成分および直角位相成分と呼ばれます。
X 及び Y から、Vs(t) の、強度 R 及び位相θへの変換は、三角法による計算で行います。

式

測定信号が R = AS/2 とうように、信号のRMS値に一致することは、興味深い事実です。
ほとんどのロックインアンプは、測定した (X, Y) や (R, θ) の値を、-10 V~+10 Vにエンコードして、AUX出力端子に出力します。



ロックインアンプ応用

ロックインアンプは、様々な応用に使用されています。
時には、目的が、良好な信号ノイズ比(SN比)で信号測定を行うことであり、信号は大きなフィルタ設定で行うこともあります。
このような状況では、位相敏感検出という言葉が適切です。
他の応用では、信号が非常に微弱で、ノイズに埋もれてしまっている様な場合、とても狭帯域のフィルタ設定を必要とします。
このような状況では、ロックインアンプは、信号再生として使用されます。
標準的なアプローチでは測定することができない、信号が高周波(GHz や THz)で変調されているような場合、 ロックインアンプの測定帯域の低い周波数に乗算して行うケースもあります。
また、微小で、1/f ノイズ、電源ノイズやゆっくりとしたドリフトに埋もれてしまっている、定常 もしくは 非常に低い周波数で変動しているような信号を測定する場合、微弱信号をノイズ源よりもはるかに高い周波数で変調し、ロックインアンプを用いて、効率よく復調し、もとの周波数での測定をすることができます。
多くの光応用では、チョッパ、EO変調器、AO変調器などを用いて信号を高周波へ変調します。
この方法の利点は、比較的ノイズレベルの低い周波数帯に変換することで、DC信号に単にローパスフィルタをかけるのに比べて、効率よく測定できる点にあります。

図 3. ノイズに埋もれたDC信号測定例
図 3. ノイズに埋もれたDC信号測定例


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