2017年第2 四半期号 ニュースレター

ロックインアンプ 他 システム統合への選択肢

論説

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2017年第2四半期ニュースレターへようこそ!

Zurich instruments が長きにわたり取り組んできたSPM分野は、Zurich Instruments 製 MFLI 技術と Scienta Omicron 製の新たな Matrix 4 SPM コントローラとの統合という、新たな節目を迎えます。またMFLI を Anasys Instruments 製の nanoIR2-s と統合し、s-SNOM と AFM-IR 機器を組み合わせた特許取得済のTapping AFM-IR™ 技術を搭載します。Scienta Omicron 社のMartin Rohmer 氏と Anasys Instruments 社 Craig Prater 氏、Dean Dawson 氏のインタビューをご覧ください。

MFLI を利用して自社の SPM へ構築、拡張したい方へ、我社のアプリケーション開発担当者である Romain が、先端保護と高速自動アプローチの導入方法をご説明いたします。また、Zurich Instruments のアプリケーション開発担当者である Mehdi と Tim による極座標を用いた適切なノイズ分析1 TΩ でのインピーダンス測定の記事をご紹介いたします。さらに、低温物理ロックインアンプのための主な性能インジケータアプリケーションに関するノウハウのまとめをご紹介いたします。最後に、初となる AWG 検出能力についての最新の動画もご覧ください。

顧客インタビュー:Scienta Omicron社 Martin Rohmer氏

Martin Rohmer 氏

Martin Rohmer 氏は Scienta Omicron 社で SPM 事業部門を率いています。



Zurich Instruments社のAFM PLLを搭載したScienta Omicron社の新しいMatrix 4 SPMコントローラ。

Zurich Instruments社のAFM PLLを搭載したScienta Omicron社の新しいMatrix 4 SPMコントローラ。

Martin さん、こんにちは。Scienta Omicron 社は最近ドレスデンで開催されたDPG meeting で4種類の新製品を発表しました。このことについて、お話を聞かせください。

はい、私たちは新しいスキャンプローブ顕微鏡(SPM)3つ、新しい SPM コントローラを1つ発表しました。

まず初めに、第3世代の低温 STM を発表しました。これは 5K より低い温度で非常に低いドリフトと高い安定性という理想的性能を提供しています。スペクトル分解能は飛躍的に向上し、QPlus AFM を搭載しています。

2つ目は、無限の測定時間と 10K から 400K 間での便利な冷却性能をもつ、低温液体を使わない新しい Fermi DryCoolTM SPM です。ユーザは、Fermi DryCoolTM を搭載した、QPlus AFM と STM を実行できます。

3つ目の新しい SPM は、より高度な画像生成と T = 1.4K より低温での分光法のための TESLA JT SPM、Joule-Thompson 低温冷却顕微鏡です。STM と QPlus AFM 測定は BZ = 3 T までの磁場で測定できます。

加えて、新しい Matrix 4 SPM コントローラを発表し、これには Zurich Instruments 製の AFM PLL を使用しています。

どの時点で自社での開発に代えて、Zurich Instrumentsの技術との統合を考えはじめましたか?

およそ2年前に MFLI ロックインアンプが登場した時、ちょうど私たちは新しい QPlus 解決策を模索していました。私たちはすぐに、非常に少ない労力で目標に到達できる可能性に気が付きました。素晴らしいノイズ性能と 5MHz までの周波数域が、これまでの高周波製品に比べて私たちの要求に非常に適していたのです。さらに、アナログとデジタルのインターフェース技術が当初からの主な検討課題でした。最適なデジタル信号処理と最適な QPlus 顕微鏡の組み合わせは、私たちの顧客に完全に合致しました。

Zurich Instruments では、MFLI をサブシステムとして統合できるよう設計しました。装置には物理的なボタンは搭載せず多くの DIO を追加したことで、豊富な API を提供します。これらの機能は、今注目の SPM コントローラの開発に役立ちましたか?

まず初めに、アナログインターフェースのための4つの AUX 出力により、MFLI は数分以内に統合セットアップ出来ます。このことで、様々なアプリケーションモードを使い、性能に対する多くの初期試験を行うことができました。MF-MD マルチ復調オプションMF-PID クワッド PID/PLL オプションを使えば、私たちのほとんどのアプリケーションモードがサポートされているとわかりました。

しかし、完全統合に向けたこの重要な証明から、さらに長い道のりが待っていました。最も重要なステップは特に測定データのデジタルドメインへの直接の取り込みと、我々の定評のある SPM コントロールによる完全自動測定の達成のためのソフトウェアの統合でした。最近のリリースでは、SPM 走査実験でのプローブ振動を周波数共鳴を見つける内臓のルーティーンを使って設定し、全体のパラメータを設定することで、高感度と信頼性のある測定を手に入れることができます。高度なユーザは、プロセス全てのステップをそれぞれに合わせて調整することができ、全てのコントロールパラメータをご利用いただけます。望まない破損からチップ先端を保護するために、Zurich Instruments のハードウェアと顕微鏡を制御する我々の Matrix ハードウェアとの間に特別な高速通信を組み込みました。この高速で信頼性のあるチップ先端保護により、望まない補正やプローブの破損を最小限に抑えます。

このようなプロジェクトの間、多数の課題が立ちはだかり、これは2社の強力な協力体制なしには立ち向かうことができませんでした。Zurich Instruments との作業を通し、技術面とビジネス面の両方で高い成果を得て素晴らしい体験ができました。

最近のSPMコントローラの発展は、既存の顧客に対し、どのような利益をもたらすのでしょうか?

私たちには顧客に対し、長きに渡る製品寿命サイクルを通じて、ソフトウェアとハードウェアの更新を提供するという大きな義務があります。現在のところ、私たちは Matrix ハードウェア・バージョンに関しては技術的にアップグレード可能であるとみています。今言えることは、2年以内に発売されたすべての Matrix バージョンはアップグレード可能です。

ご見解、ありがとうございました。私たちはこのコラボレーションをとても光栄に思います。新しい Matrix 4 SPM コントローラを基にした、たくさんの先端的な発表を楽しみにしております。

顧客インタビュー:Anasys Instruments社 Craig Prater氏、Dean Dawson氏

Craig Prater氏、最高技術責任者兼共同創立者

Craig Prater氏、最高技術責任者兼共同創立者



Dean Dawson氏、マーケティング・ビジネス部部長

Dean Dawson氏、マーケティング・ビジネス部 部長



s-SNOMとAFM-IR機器を搭載したnanoIR2-s

s-SNOMとAFM-IR機器を搭載したnanoIR2-s

こんにちは Craig さん。Anasys Instruments の設立とここ数年の発展についてお聞かせください。

Anasys Instruments は2005年に、ナノスケールでの材料特性解析のための機器を提供するという構想に基づいて設立されました。最初の製品は、ナノスケール熱分析をベースとした、ナノメーターレベルでの空間分析能で材料の熱特性を測定する製品でした。月日がたち、私たちは原子間力顕微鏡と赤外分析法の新規の組み合わせによるナノスケールでの化学分析の新技術においてパイオニアとなりました。さらにナノスケール(動的)機械分光法とナノスケール光学測定法を提供する技術と機器を開発しました。これらの技術力により、試料の形態的、化学的、光学機械的、熱的特性を広範囲にわたり相関的に計測する能力を提供します。

あなたが最初にZurich Instruments に出会ったのがさかのぼること2011年のことで、その数年後からにロックインを利用されています。ここで最初に HF2LI を選択した決め手と、あなたの技術や製品開発にどのように役立ったのか教えてください。

私が最初にZurich の製品に出会ったのは、他社から旧型のロックインを購入した直後のことでした。すぐに私は購入したことを後悔しました(笑)。Zurich Instruments のロックインの方がこれまで慣れ親しんだ旧型のロックインに比べてはるかに優れているのは明らかでしたから。特に Zurich Instruments 製品の柔軟性の虜になりました。自分が必要とする様々な測定に簡単に再構成できる点がとても気に入りました。私たちの開発や新しい発想を試作する際、広範囲にわたって Zurich Instruments ロックインを使用しました。

MFLI を nanoIR2-s に組み込む決断をした際、重要課題の一つとして、自身のソフトに装置を組み込む点があったと思います。どのようにそれから先に進むと考え、またそのプロセスの間、Zurich Instruments からどのようなサポートを受けられると判断したか、お聞かせください。

私たちは Zurich Instruments のソフトウェア・インターフェースが大好きです。Anasys Instruments では Zurich の中心機能を私たちのソフトウェアに完全に組み込みました。そうすることで、私たちのユーザーが画像生成でも分光法でもいずれのロックイン・データ・チャンネルでも選択できます。Zurich Instruments は、私たちが必要とすれば、すばらしい組み込みサポートとトレーニングを行ってくれました。私たちはこれまで数多くの第三者ソフトウェア・インターフェースと作業を行ってきましたが、LabOne はその中で最も気に入っているものです。パワフルで柔軟性があり、安定性を兼ね備え、またサポート体制がしっかりしています。

Dean さん、Tapping AFM-IR™ が市場で受け入れられる将来性はいかがでしょうか?

私たちの nanoIR™ 技術は、特許出願中の光熱 AFM-IR 技術を使って光学回折の限界を超え、既に学術研究者や産業分野のユーザから強い引き合いをいただいています。Anasys の新たな Tapping AFM-IR™ は、化学イメージングで 10nm の空間分解能のナノスケール赤外分光分析を初めて達成する、劇的な能力の向上を可能にしました。新たなモードでは、nanoIR™ 製品をより幅広い材料に対応させ、接着剤、ゴム化合物、その他ソフトマターな材料などの分野でも新たなアプリケーションを用意しています。研究者や産業分野でのユーザーから、この新たな化学イメージレベルへのご期待も急増していると感じています。

AFM-IR 技術の魅力的な部品については、すでに市場で販売されている機器への搭載も可能ですね。ユーザの現在のニーズに適応できる製品を提供するという、Zurich Instruments のアプローチとまさに一致しています。

私たちはすでに Tapping AFM-IR™ を数多くの既存のお客様へ提供しています。Zurich Instruments 製品を使うことで、モジュール・アプローチから拡張性、そして市場において迅速に簡単にアップグレードを実現することが可能です。Zurich の機器をすでに搭載している顧客へのアップグレードも迅速で簡単です。このことで私たちの顧客が新しい技術力に迅速に適応し、新たな科学研究を支援し、また産業分野のお客様も高度な問題へ取り組むこととなります。

では、2017年後半と来年の Anasys Instruents の展望についてお聞かせください。

私たちは今後も、nanoIR™ 分光計の製品に対する新たな製品技術を発表し、これにより性能面でのリーダーシップをとり、測定速度、画像解析および広域分光法を向上していきます。Zurich Instruments のパートナーとして、さらに努力を重ねることができ光栄です。

お話しいただき、ありがとうございました。今後の更なる発展のため、共に歩んでいけることを楽しみにしております。

ヒント&コツ I:AFM先端保護と高速自動アプローチ

AFM先端保護と高速自動アプローチ

処理の迅速化や稼働時間の拡大は、産学両方の環境で原子間力顕微鏡(AFM)の適切な使用における、主な要求事項となっています。Romain Stomp の最新のブログ記事では、すべての機器に搭載される新たなしきい値ユニットにより可能となる AFM チップ先端保護と高速自動アプローチの実装に役立つ記事を掲載しています。このしきい値ユニットにより、チップ先端が表面を走査するときの安全メカニズム、スキャンを実行するときのチップ先端保護を提供します。その結果、より信頼性を備え、より早く測定でき、破壊した先端を交換したり、思いがけない表面への傷や汚染により作業が滞ることがなくなります。

新しい動画:オンボード信号分析を搭載した初の AWG

最新の動画では、開発技術者の Niels Haandbaek が、Zurich Instruments UHFAWG の短い紹介動画を公開しています。本格的な信号分析技術を備えた初の商用AWGです。ロックイン検出/復調、スコープ / デジタイザ、スペクトル分析機、パルスカウンタ。LabOne 機器コントロールソフトウェアとのコンビネーションにより、初期 AWG をはるかに超えた測定が行えます。

ヒント&コツ II:1 TΩ におけるインピーダンス測定

1 TΩ におけるインピーダンス測定

MFIA インピーダンスアナライザ

MFIA のもつ高感度、8つの電流入力幅により、広範囲の周波数域にわたって1テラオーム素子のインピーダンスを簡単に測定できます。

Tim の最新のブログ記事では、商用で利用可能な1 TΩ 抵抗器の MFIA の周波数全域 1mHz から 5MHz まででのインピーダンス測定について紹介しています。通常の 1 TΩ 抵抗値は、容量効果の設定前はわずか約2Hz まで有効です。デモンストレーションでは、素子を回路に組み込む前に周波数の値としてその素材を特性化する重要性を示しています。絶対インピーダンスは 0.997 TΩ として測定され、通常の値 1 TΩ と比較しても良い値を取り、許容誤差は 10% です。これは精度チャートの末端であったとしても、MFIA が高い精度であることを示しています。

Zurich Instruments 製ロックインアンプを利用した最近の出版物

ヒント&コツ I:AFM先端保護と高速自動アプローチ

AFM先端保護と高速自動アプローチ

ロックインアンプ測定データ解釈には、基本となる統計手法の理解が必要です。あなたが同相成分や直交成分、振幅もしくは相を見ていたとしても、正しい統計分布関数をデータに適応する必要があります。どうぞ Mehdi Alem の最新記事をご覧ください。極座標への統計手法の機微についての簡単な紹介、ご自身のデータに対する正しい結論への素早く到達するお手伝いをいたします。

アプリケーション・ノウハウ詳細:低温物理学における良好なロックインアンプの秘訣は?

xford Instruments 製 Triton Cryofree® 希釈液冷却システム

xford Instruments 製 Triton Cryofree® 希釈液冷却システムは、物性物理学分野、特に最先端コンピューティング、量子技術、スピントロニクス、光学分野において世界のトップレベルの研究で使用されています。

低温(LT)は、超電導、磁性、低次元量子システムなどの基礎物理学の研究で必要とされます。通常、低温環境に到達するのは困難であり、もろく、したがって測定環境で使用するには特別な装備一式が必要となります。

最近までは、アナログ・ロックインアンプ・ユニットが低温測定での選択肢となっていました。しかしながら、最新のデジタル電子部品と適した設計技術により、アナログ・ロックインアンプを超え、関連する全ての目的に合わせてデジタル・ロックインアンプを利用できるようになりました。デジタルユニットは、ドリフトに対して低感度であり、より高性能のフィルターを搭載し、うまく設定された場合は放射刺激がスペクトルに現れません。

現在、数社のベンダーがデジタル・ロックインアンプを取り扱っております。では低温測定のための選択肢としてZurich Instruments MFLI 500kHz / 5MHz ロックインアンプをお勧めする理由は何でしょうか?

感度

2.5 nV/√Hz の限りなく低入力ノイズ・フロア、約10 Hz のコーナー周波数により、特に輸送特性測定が良く行われる低周波帯での最高測定感度を実現します。

超低電力損失

電子温度の上昇を抑えるため、MFLI 入力は20 Hz から180 MHz の範囲内でたった -72.3 dBm の低電力損失となるよう設計されています。

テクニカルノート「ロックインアンプの入力コネクタでの電力損失」をご覧いただき、測定結果をご確認ください。

ダイナミックリザーブ

広入力範囲での測定時に強い干渉が仮に発生しても、120 dB の高いダイナミックリザーブが特定精度を維持します。

バッテリー駆動

MFLI は測定時に電源供給ラインから移動しても、バッテリ駆動が可能です。

セットアップ時の複雑さの解消

スコープ、プロッター、分光器、パラメータスイーパーなどの LabOne ユーザインターフェースツールは、追加のプログラミンや機器の導入なしにご利用可能です。

新たな要求への柔軟性

MFLIの機能は新規で購入した後、機器の返却をすることなく、多くのオプションへ拡張可能です。MF-MD オプションは、デュアルフェーズ復調器を1つから4つに増加します。これにより、同時に電流と電力の測定、広域周波および高調波演算方式を行うことが可能となります。場合によっては、MFLIの18 bit AUX出力を利用して、DC電源をデバイスゲートやI/V測定専用にすることができます。加えてアナログ補正も電圧出力に搭載でき、外部部品をつける必要もありません。

ご意見をお聞かせください。是非、みなさまのご希望・ご感想をおよせください。お待ちしております。


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