アスフェリコン社のトップシェイプ(a|TopShape)とエアリーシェイプ(a|AiryShape)は、レーザー用のビームシェイパーです。
どちらも非球面オプティクスをベースにしたモジュールで、ガウシアンプロファイルのレーザー光をトップハットに変換します。
トップシェイプはコリメートされたトップハットビームに変換する光学素子で、計測用途や顕微鏡のレーザー照明用途に使われます。
エアリーシェイプはトップハットやドーナツ状プロファイルの集光ビームをつくるための素子です。
レーザー加工の品質向上に役立ちます。 アライメント調整を簡単にするために高い精度で製造されています。
アスフェリコン社のビームエキスパンダやファイバーコリメーター(BeamTuning シリーズ)を使うとさらにセットアップ時間を短縮できます。
トップシェイプ(コリメート トップハットビーム) a|TopShape
コリメート状態のガウシアンビームをトップハットビームに変換するビームシェイパーです。
コンパクトな設計で高い光学性能(均一性 > 90%)をもつのでレーザー用途に最適です。
トップシェイプは広い波長範囲をカバーして、入力ビームサイズの変化も許容しつつ、ビームプロファイルを 300 mm 以上保ちます。
新製品 作動距離が最大 1.5 m のトップシェイプ LD(長作動距離バージョン)
この長作動距離バージョンのビームシェイパーは 1 m 以上わたってにトップハットのコリメートビームを維持します。
保証値は 1 m まで、最大で 1.5 m まで距離が伸びます。
長作動距離バージョンのトップシェイプ LD は、小さい径のコリメートトップハットビームが必要とされる用途に最適です。
その理由は、トップシェイプ後のビームサイズを縮小すると、作動距離も短くなるからです。
Episode 6 非球面ビームシェイパ、TopShape その1
「できるまでトライ!」のラストは、2回にわたって非球面ビームシェイパ TopShape をご紹介します。
ガウシアンビームをトップハットのコリメート光に成形するためのセットアップは?
⇒ 使い方はとってもカンタンです。
仕様
- 損失が少なく、優れた光学性能(均一性 > 90%)
- 広いスペクトル範囲
- 規定の入力ビーム径から ±10% の許容範囲
- 安定したビームプロファイル(不均一性 <10%):トップシェイプ(WD 300 mm まで保証)、トップシェイプ LD(WD 1m まで保証)
- 全長 10 cm 以下
- 入力ビーム径 @ 1/e² = 10 mm;出力ビーム径 @ FWHM = 15.2 mm~15.7 mm
- レーザー損傷閾値:12 J /cm2、100 Hz、6 ns、532 nm
寸法図(mm)
トップシェイプの光学性能
下の図は、作動距離 100 mm で 7 つの非球面を含む 14 の光学面を通過した後の波面(左図)と、6 つの非球面を含む 12 の光学面を通過した後のビームプロファイル(右図)です。
結果は波面収差(RMS)0.05 λで Strehl 値 0.9 となり、非常に高い光学性能を証明しています。
プロファイルの測定結果 ビームの均一性 0.1 と ISO Edge Steepness 0.4 はそれを高い光学性能を裏付けます。
トップシェイプ LD の光学性能
長作動距離バージョンのトップシェイプ LD の特長は、長く安定したビーム伝搬距離です。
この図は作動距離 3000 mm での強度分布です。ISO ビーム均一性 0.1 です。
波長範囲
上:トップシェイプ [設計波長 (nm):355nm, 632nm, 1064nm] が対応する波長範囲
中:トップシェイプ LD [設計波長 (nm):355, 405, 632, 780, 1064] が対応する波長範囲
下:エアリーシェイプの波長範囲
トップハットビームの利点
レーザー加工やレーザー顕微鏡の分野においてビームシェイピングが重要な役割を持っています。
通常のレーザー用途ではガウシアンのプロファイルが使用されますが、中心に向かって強度が高くなるその特性が弱点となる場合があります。
均一な強度分布、いわゆるトップハットビームの方がはるかに良い結果が得られます。
トップハットのビームは、例えばレーザー加工において切断エッジ部分の品質向上や、顕微鏡ではレーザーによる均一な照明を可能にします。
アスフェリコン社のビームシェイパーは、ガウシアンのレーザープロファイルをコリメートまたは集光のトップハット強度分布に変換します。
トップシェイプの応用例
レーザベースの広視野蛍光顕微鏡の光学セットアップで、ガウシアンビームによる照明では定量的な分析が困難です。
このような場合はトップシェイプが役立ちます。
顕微鏡のセットアップで、ガウシアンビームをフラットトップの均一なプロファイルに変換することで、均一なレーザ照明を実現します。
顕微鏡のスライドが均一に照明をうけることで、読み取りが容易になります。
トップシェイプ a|TopShape を蛍光顕微鏡に応用した論文(by I. Khaw et. al. from CREOL)はこちらからダウンロードできます。
エアリーシェイプ a|AiryShape
エアリーシェイプは集光レンズと組み合わせて使います。コリメートのガウシアンビームを、異なる集光ビームプロファイル(トップハットやドーナツ)に変換します。
エアリーシェイプはコンパクトサイズなので、従来の光学セットアップへの追加が簡単です。
仕様
- 異なるビームプロファイルに変換(トップハット、ドーナツ)
- 波長範囲 300 nm~1600 nm に対応(波長範囲の異なる 5 モデルで)
- 既存の光学セットアップに簡単に追加
- アライメントに役立つ高精度マウント
- コンパクト設計
- 入力ビームサイズ@ 1/e²= 10 mm;出力ビームサイズ dAiry = 10 mm
- レーザー損傷閾値:12 J/cm2、100 Hz、6 ns、532 nm
寸法図(mm)
性能と拡張性
下の図では、ビーム伝搬方向(z 軸)に沿って標準化されたビームプロファイルセクションが 1 つにまとめられています。
表示はビームウエスト ±1.5 mm の範囲です。作動面によって異なる強度プロファイルが 2D および断面プロットとして表示されています。
ビームプロファイルの両方のプロットとも、エアリーシェイプ a | AiryShape(λ= 635 nm)で生成されています。
エアリーシェイプの動作原理では、集光レンズの焦点面に 1 個のトップハットビームプロファイルを生成するだけでなく、作動距離によって異なるプロファイルが現れるので使い方にバリエーションがあります。
ビームプロファイルの生成は、入力ビームの品質に左右されます。理想的な集光トップハットビームの生成には、波面収差のない完全にコリメートされたビームの入力が必要なので、アスフェリコン社の非球面ビームエキスパンダと併用することをお勧めします。
波長範囲
エアリーシェイプは 5 つのモデルで広い波長範囲をカバーします。
エアリーシェイプの応用例
集光強度分布の変換は、レーザーと加工パラメーターの最適化をするだけでなく、高精度な加工結果を得る大きな可能性を与えてくれます。
ドイツのイエナにあるオットーショット材料研究所(OSIM)と協力して、アスフェリコン社はエアリーシェイプで発生させたレーザー強度分布の分析を実施しました。
フェムト秒レーザーによるマイクロ or ナノスケールでの材料加工、つまりレーザー切断・レーザーマーキング・laser-induced periodic surface structures の生成への適応性について検討を行い、その結果を論文(by A. Möhl et. al)としてまとめました。
鉄板に溝状の構造を加工した例
左側の図:ガウシアンビームでの加工 (従来のシステム)
中央の図:ドーナツ形ビームでの加工 (アスフェリコン社のエアリーシェイプで生成)
右側の図:トップハットビームでの加工(アスフェリコン社のエアリーシェイプで生成)