反射防止 および 低吸収コーティング

当社の反射防止コーティングは、特定の波長または波長範囲に最適化されています。
それらは、特定の波長に対して、レーザー光の透過率を高くし、レンズでのエネルギーの吸収を少なくします。

低吸収コーティングは、熱効果を最小限に抑えるため、平均パワーが高いレーザーに使用することが推奨されます。
これらのコーティングは、溶融石英レンズでのみ使用できます。
標準コーティングの他に、カスタマイズされたコーティングも提供しています。

以下のコーティング曲線は、当社の代表的なコーティングの表面あたりの反射率の測定値を示しています。
レンズ全体の透過率に関心がある場合、特定の波長での反射率は、レンズ素子数の2倍(各素子には2つの面があります)を掛け合わせ、100% から差し引きます。
レンズ素子の数はデータシートに記載されています。

performance of coating /008

performance of coating /065

performance of coating /075

performance of coating /081

performance of coating /094

performance of coating /121

performance of coating /123

performance of coating /126

performance of coating /159

performance of coating /173

performance of coating /199

performance of coating /292

performance of coating /328

performance of coating /373

performance of coating /449

performance of coating /450

performance of coating /574

熱収差対策

高出力レーザーにより、一般的な光学ガラスではコートや硝材の吸収により熱収差が生じます。
熱収差により焦点位置のシフトやビーム品質低下によりプロセス品質の低下が生じます。
これに対し、Sill ではレンズ要素材料として合成石英を多く用いています。
合成石英は光学ガラスに比べて吸収係数が非常に低い、熱抵抗性の高いガラス材料で、熱の影響を最小限に抑えます。
また、Sill は特殊な低吸収コーティングを使用して、熱効果を最小限に抑え、損傷閾値を高めています。

LIDT (Laser Induced Damage Threshold:レーザー誘起損傷閾値)

高パルスエネルギーレーザーをレンズに当てるとレンズ材料やコーティングに永続的な損傷を受けることがあります。
この損傷の閾値を示すのが LIDT で一般にフルエンス F (J/cm2)で定義されます。
Sillのレンズでは多くのコーティングで LIDT が明確化されているため高パルスエネルギーレーザーにも対応可能です。

LIDTの換算方法

あるコートで、ある波長・パルス長さ(時間)での LIDT がわかっている場合、それを別の波長・パルス長さに変換する換算式は次のようになります。

波長が長く、パルス長さが長くなればLIDTは大きくなります。

コーティングの LIDT

次の表に、レーザー誘起損傷閾値の測定結果を示します。
これらは、アセトンで洗浄したサンプルを使用して、クリーンなラボ環境で行われました。
コーティングプロセスのばらつき、レンズエレメントの形状、および特別なテスト環境により、実際の LIDT 値ははるかに低くなる可能性があることに注意してください(目安は 1/5~1/10 倍です)。
したがって、これらの値はテスト結果であり、仕様ではありません。

拡張子 タイプ 波長 仕様 損傷閾値
(LIDT はこの1/5~1/10倍)
テスト波長 パルス周波数 パルス長さ
/075 anti-refl ective 355 nm R < 0.2 % 0.05 J/cm2 343 nm 100 Hz 1 ps
/081 anti-refl ective 1064 nm
532 nm
R < 0.2 %
R < 0.25 %
14.1 J/cm2 1064 nm 100 Hz 12 ns
/126 anti-refl ective 1064 nm R < 0.2 % 14.1 J/cm2 1064 nm 100 Hz 12 ns
/292 low-absorption 515 nm - 532 nm R < 0.2 % 4.41 J/cm2
0.28 J/cm2
0.14 J/cm2
532 nm
515 nm
531 nm
100 Hz
100 Hz
1 kHz
10 ns
1 ps
60 fs
/328 low-absorption 1030 nm - 1064 nm R < 0.2 % 17.58 J/cm2
0.57 J/cm2
0.26 J/cm2
1064 nm
1030 nm
1029 nm
100 Hz
100 Hz
1 kHz
12 ns
1.2 ps
54 fs
/449 low-absorption 900 nm - 1070 nm R < 0.25 % ~ 5 J/cm2
0.51 J/cm2
0.38 J/cm2
1064 nm
1030 nm
1029 nm
50 Hz
100 Hz
1 kHz
1 ns
1.2 ps
54 fs
/574 low-absorption 343 nm - 355 nm R < 0.2 % ~ 1 J/cm2
0.18 J/cm2
355 nm
343 nm
50 Hz
100 Hz
1 ns
1 ps

正しいレンズの取り扱いとクリーニング

光学部品の良好な性能と長い寿命を保証するには、レンズの適切な取り扱いと洗浄が重要です。
ほこり、水、処理残余物などの汚染物質は、散乱光と光吸収を増加させ、欠陥につながる可能性があります。
したがって、光学系は納品されたパッケージに保管し、清潔な環境でのみ開封する必要があります。
光学面の指紋や、皮脂によるレンズの損傷を防ぐために、手袋を着用する必要があります。
小さなレンズをより扱いやすくするために、レンズマウントはピンセットで固定できます。
レンズ表面に傷を付けないように特に注意してください。

光学系のフロントレンズや単レンズに汚れが見える場合は、この汚れを簡単なクリーニング方法で取り除くことができます。
ダストは、不活性ダストガスまたはブロワーバルブを使用して除去できます。
それでも表面にほこりが残っている場合は、特殊なレンズティッシュを使用して清掃してください。
必要に応じて、レンズのティッシュにアセトンを含ませることで、高い洗浄効果とストリエーションを防止できます。
汚染が激しい場合は、まず表面を蒸留水で洗浄し、必要に応じてアセトンで洗浄する必要があります。

レンズの独立した取り外しは保証の期限切れにつながるため、製造業者のみが行います。

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