パイロカム IIIHR & IV シリーズ

  • 波長範囲 13~355nm および 1.06~3000µm
  • CO2 レーザー、通信NIRレーザー、近赤外レーザー、遠赤外テラヘルツ光源
  • リニアダイナミックレンジ 1000:1の焦電式カメラで正確な計測が可能
  • チョッパ内蔵によりCWビームおよびサーマルイメージングに対応
  • 交換可能なウインドウ(オプション)により、あらゆるアプリケーションに対応
  • レーザービーム解析用 BeamGageソフトウェア

Spiriconは長年に渡り焦電式ディテクタを搭載したカメラの開発・製造を行ってきました。25年以上においてPyrocam (パイロカム) はUV/IRレーザービーム解析用カメラとして多くのユーザーから支持を得てきました。
正確さ、安定性、信頼性、汎用性には定評がございます。

Pyrocam™ IIIHRは、有効画素エリア12.8mm×12.8mmのディテクタアレイとなっており、信号を16bitでデジタル化、高速通信 アプリケーション用GigE対応です。
Pyrocam™ IVは、有効画素エリア25.6mm×25.6mmのディテクタアレイとなっており、カメラ感度も向上しています。
信号を16ビットでデジタル化、高速通信アプリケーション用GigE対応です。
いずれのモデルも、チョッパ内蔵によりCWレーザーのビームプロファイルおよびサーマルイメージングに対応します。

対応OSは Windowsとなっており、セットアップも簡単に行え、BeamGageソフトウェアで容易に定量分析結果や画像の表示が可能です。

特長

レーザービームを鮮明に見る

Pyrocamシリーズは鮮明で安定したビームプロファイルを映し出します。
2Dや3Dで表示された画像で、レーザーの性能や運用に影響を与えるビームの特性を素早く認識することができます。
問題を起こす可能性のあるレーザーの変化に即座に警告を発します。
瞬時のフィードバックがレーザーパラメーターの適宜な修正やリアルタイムな調整を可能にします。
例えば、加工現場においてプロファイルを観測することによって、モードの乱れを直ちに認識し正常なビームへの調整を可能にします。
モードの乱れたビームでの加工では良い結果は得られません。

図1. 調整不足な高出力CO2レーザー

図1. 調整不足な高出力CO2レーザー

図2. 正常な調整をしている高出力CO2レーザー

図2. 正常な調整をしている高出力CO2レーザー

PyrocamIIIHR(パイロカム スリーエイチアール)は、有効画素エリア12.8mm×12.8mmの2次元イメージセンサーとなっており、信号を16bitでデジタル化、高速通信 アプリケーション用GigE対応です。

改良版のPyrocamIV(パイロカム フォー)はデザインも一新され、有効画素エリア 25.6mm×25.6mmの2次元イメージセンサーとなっており、カメラ感度も向上しています。
信号を16ビットでデジタル化、高速通信アプリケーション用GigE対応です。

いずれのモデルも、チョッパ内蔵によりCWレーザーのビームプロファイルおよびサーマルイメージングに対応します。
対応OSはWindowsとなっており、セットアップも簡単に行え、BeamGageソフトウェアで容易に定量分析結果や画像の表示が可能です。

パルスおよびCWレーザーに対応

Pyrocamシリーズは、パルスとCWどちらのレーザーでもプロファイル測定が行えます。
センサーには焦電素子を採用していますので、フェムト秒から12.8msまでのパルス光の測定が可能です。
焦電素子は強度の変化を測定しているので周囲の温度変化の影響を受けにくい特徴があります。
CWレーザーの場合、チョッピングして信号の変化を生じさせる必要があるので、パイロカムにはオプションとして内蔵型チョッパが用意されています。

テラヘルツ光源のビームプロファイル

Pyrocamシリーズは、THzレーザーや光源を測定するのに大変優れたツールです。
素子には1µmから3000µm (0.1THzから300THz)を超える波長を吸収するコーティングが施されています。
THz光源に対する感度はサチレーションレベルで 1.5mW/cm2 程度と低いのですが、S/N比1000であれば、30mW/cm2のビームでも十分に観測できます。
さらにUltracalベースライン設定で、複数フレーム合成してノイズ成分を取り除くことができます。
256フレームの合成で 0.5〜1.0mW/cm2の低出力ビームで観測が可能となります。

パイロカムIII によるTHzレーザービーム測定例, 0.2THz (1.55mm), 3mW,19フレーム合成

パイロカムIII によるTHzレーザビーム測定例,0.2THz (1.55mm), 3mW, 19フレーム合成

パイロカム IVによるTHz レーザービーム測定例, 0.5 THz (5mm), 5mW,シングルフレーム

パイロカム IVによるTHz レーザビーム測定例,0.5THz (5mm), 5mW, シングルフレーム

ブロードな波長感度

Pyrocam シリーズのディテクタには、UVからIRのレーザー波長で使用できるように非常にブロードなコーティングが施されています。
下図でUV側は100nmから始まっていますが、X線での感度もあります。
同じくIR側は100µmで終わっていますが、3000µmまで使えます。

Pyrocam TM III検出アレイの波長感度(ウインドウなし) Pyrocam™ III検出アレイの波長感度(ウインドウなし)

従って近赤外域のNd:YAG (1.06µm)、通信帯域 (1.3µm・1.55µm)、中赤外域のHF/DF (4µm)、遠赤外域の自由電子レーザー (193-3000µm) の測定が行えます。

Er:YAGレーザー 2.9µm

Er:YAGレーザー 2.9µm

赤外線ファイバーからの出力

赤外線ファイバーからの出力

THzレーザー 1.6THz (184µm)

THzレーザー 1.6THz (184µm)

自由電子レーザー 100µm

自由電子レーザー 100µm

パイロカムはさらに紫外線においても極めて有効で、エキシマやYAG3倍波/4倍波など157nmから355nmの紫外光を素子を損傷することなく安定した測定を行えます。
(焦電検出器は可視域で動作しますので、CO2レーザーのアライメント用HeNeレーザーを観測することができます。
しかし、根本的にシリコン・マルチプレクサからの不適切な応答により性能が低下しますので、可視域の定量測定はPyrocamは推奨しません。)

ハイブリッド回路内蔵センサー

パイロカムシリーズはソリッドステート読み取りマルチプレクサ上にインジウムバンプとともに頑丈なLiTaO3焦電クリスタルが取り付けられています。
このセンサーは元々PyrocamI用に開発されたものですが、これまでの改良で現在入手可能な赤外線検出アレイの中で、最も頑丈で安定性があり、精度の高いものになっています。
左図はウインドウを取り付ける前のセンサーです。
焦電クリスタル上に照射されたレーザー光は吸収されたり熱に変換されたりしますが、これによって表面に電荷が生じます。そしてマルチプレクサがこの電荷を読み取ります。
短いレーザーパルスで使用する場合、カメラのファームウェアは熱による生成信号を正確に捉えるために極めて短いシャッターを切っています。

Pyrocam™ IIIHR 12.8X12.8mm 素子アレイ

Pyrocam™ IIIHR 12.8X12.8mm 素子アレイ

PyrocamIV 25X25mm 素子アレイ

PyrocamIV 25X25mm 素子アレイ

最新エレクトリック技術

カメラの大きな特徴は、カメラノイズの深いところまでデジタル化するアA/Dコンバータです。
これによりレーザービームエッジの大小両方の信号について信頼性の高い測定と分析が可能となります。
高分解能デジタル化はさらに、ノイズから微弱な信号を取り出すための正確な積算や平均化も可能としています。
これは1.3µmや1.55µmの光ファイバーを対象とする際やサーマルイメージングの際に特に有効です。

検出器のダメージスレッショルド

パイロカムセンサーは、CCDカメラより100倍の耐久強度を持っています。
特に高出力レーザーで低減率を求められている場合には、パイロカムが理想的です。
それでも、エネルギーの高すぎるパルスレーザーの場合、素子を損傷しかねません。

焦電検出器コーティングのパルスレーザーによるダメージスレッショルド 焦電検出器コーティングのパルスレーザーによるダメージスレッショルド

ソフトウェア

BeamGage ビームプロファイル解析ソフトウェア

Pyrocam (パイロカム) シリーズには、BeamGageビームプロファイル解析ソフトウェアが標準装備されています。
BeamGageは最先端のビーム解析ソフトウェアで、大量のデータを取得し、ビーム径、形状、均一性、拡がり角、モード、パワー分布などのビームパラメーター解析を行います。PyrocamをPCに接続するとソフトウェアが起動し、接続されているカメラが認識され、直ちにデータ取得待機状態となります。

BeamGageでのビーム解析表示例(PyrocamIIIHR&IV接続) BeamGageでのビーム解析表示例(PyrocamIIIHR&IV接続)

BeamGage™は、最新ツールとテクノロジーを採用し新設計された産業界初の画期的なレーザービーム解析用ソフトウェアです。ビーム解析の標準となっているUltraCal™ (ウルトラキャル)ベースライン補正アルゴリズム(Spiricon特許取得済み)は、ISO11146-3スタンダードの確立に貢献しており、BeamGage™はそのUltraCal™補正機能をベースとして開発されています。
ベースラインは各ピクセル単位で1デジタルカウントの1/8以上の精度で計算され、BeamGage™により高精度での測定を実現します。

それぞれのアプリケーションに最適化するよう、ユーザー側で計算をカスタマイズすることができます。
ユーザーで定義された計算が標準計算として扱われ、計算結果は画面表示され、ログや印刷などが可能です。
BeamGageTMは表示される計算の初期設定や、画面レイアウトの設定、設定のパスワード保護なども可能です。
これにより安全な製品試験は保証され、製造現場で装置を扱う作業者の安全性が確保され、統計的プロセス制御(SPC:Statiscal Process Control) に対するデータの妥当性が保証されます。

アプリケーション

Pyrocam (パイロカム) シリーズは、研究所をはじめ、物理学、化学、および電子システム設計などの分野におけるレーザービーム解析に理想的なカメラです。右図にCO₂レーザーの調査とNd:YAGレーザーの調査を例として示しますが、いずれもミスアライメントが見られます。
このカメラはCO₂およびその他の赤外線レーザーを使用した生産現場においても有効です。
パイロカムは、多くのCO₂レーザーメーカーの組み立てラインに不可欠な製品であり、製造現場では光学システムが適切に調整され運用されていることを確認するためにパイロカムを使用しています。

ミスアライメントの見られるNd:YAGレーザー

ミスアライメントの見られるNd:YAGレーザー

ミスアライメントの見られるCO₂レーザー

ミスアライメントの見られるCO2レーザー

眼科手術に使用されるエキシマレーザーの解析のように、パイロカムシリーズには沢山の医療用アプリケーションがあります。
多くの場合、こうしたレーザーは眼科手術がうまくいくように調整する必要があります。
他にも皮膚科において医療用赤外線レーザーが利用されていますが、ここではビームプロファイルの均一性が求められています。

1.3µmと1.55µmの光ファイバー通信においても、ファイバーに入射する前のビーム特性解析だけでなく、ファイバーから放射されるビーム解析まで、パイロカムは大いに利用されています。
パイロカムの低価格と高い安定性により、通信用波長向けの他のカメラに比べて優位な選択肢となります。

ミスアライメントの見られるCO2レーザー

ミスアライメントの見られるCO2レーザー

ミスアライメントの見られるNd:YAGレーザー

ミスアライメントの見られるNd:YAGレーザー

パイロカムは、CO2レーザーをはじめとする産業用 赤外線レーザーのメンテナンスにおいて必要不可欠なツールの1つです。パイロカムは、短時間の変動検出やデータの保存ができるので、バーンパターンを確認したりアクリルを焼いたりという手法から置き換わってきています。
パイロカムは、他のCO2レーザーの電子的な測定方法よりも優れており、単一パルスでビーム全体を測定できる上にリアルタイムでの測定も可能です。
これにより正確なビームの状態を測定することができます。

仕様

Pyrocam IIIHR Pyrocam IV
アプリケーション UV 及び IR領域 UV 及び IR領域
波長範囲  13 - 355nm,1.06 - 3000µm 13 - 355nm,1.06 - 3000µm
プロテクティブウィンドウ 「商品概要」参照 「商品概要」参照
ディテクタアレイ
 有効画素エリア 12.8mm x 12.8mm 25.6mm x 25.6mm
 画素間ピッチ 80µm x 80µm 80µm x 80µm
 画素数 160 x 160 320 x 320
 画素サイズ 75µm x 75µm 75µm x 75µm
チョッパ操作時
チョッピング周波数 25Hz, 50Hz 25Hz, 50Hz
感度(RMSノイズリミット) 64nW/ピクセル (25Hz)
96nW/ピクセル (50Hz)
1.0mW/cm2 (25Hz)
1.5mW/cm2 (50Hz)
64nW/ピクセル (25Hz)
96nW/ピクセル (50Hz)
1.0mW/cm2 (25Hz)
1.5mW/cm2 (50Hz)
NEP 13nW/Hz1/2/ピクセル (1Hz) 13nW/Hz1/2/ピクセル (1Hz)
パワー サチレーションレベル 3.0W/cm2 (25Hz)
4.5W/cm2 (50Hz)
3.0W/cm2 (25Hz)
4.5W/cm2 (50Hz)
耐久パワー  
 エリア全体 2W 2W
 パワー出力密度 8W/CM2(チョッパモード)
4W/CM2(パルスモードのCW)
8W/CM2(チョッパモード)
4W/CM2(パルスモードのCW)
パルス操作時
レーザーパルスレート シングルショット 1000Hz シングルショット 1000Hz
パルス幅 1fs - 12.8ms 1fs - 12.8ms
感度(ピークノイズ リミット) 0.5nJ/ピクセル
8µJ/cm2
0.5nJ/ピクセル
8µJ/cm2
エネルギーサチレーションレベル 15mJ/cm2 15mJ/cm2
ダメージスレッショルド 20mJ/cm2(パルス幅1ns)
600mJ/cm2(パルス幅1 µs)
20mJ/cm2(パルス幅1ns)
600mJ/cm2(パルス幅1 µs)
トリガ入力  
 高ロジックレベル 3.0 - 6.0V DC 3.0 - 6.0V DC
 低ロジックレベル 0 - 0.8V 0 - 0.8V
 パルス幅 4µs (最小値) 4µs (最小値)
電源・環境温度
電源 12VDC 12VDC
商用周波 60/50Hz(外部電源) 60/50Hz(外部電源)
消費電力 12W 12W
動作温度 5°C to 50°C 5°C to 50°C
寸法・重量
外径寸法 (H×W×D) 140 × 130 × 60mm 147.3 × 147.1 × 55.2mm
素子の配置位置   ハウジング幅の中心
底面から35.6mm
フロントカバーの後方15.2mm (Cマウント未装着時)
底面左から53.8mm
底面から36.8mm
フロントカバーの後方19.7mm
重量 1.52Kg (3.25lbs) ※電源は除く 1.2kg (2.65lbs) ※電源は除く
PC インターフェース Gigabit Ethernet (IEEE 802.3ab)
GigE Vision 規格
Gigabit Ethernet (IEEE 802.3ab)
GigE Vision 規格
ビームプロファイル解析
BeamGage ソフトウェア ビームプロファイル解析ソフトウェア
BeamGageカタログ参照
ビームプロファイル解析ソフトウェア
BeamGageカタログ参照
カメラグレード
Aグレード:修正可能なピクセル感度
欠落部が50個以下で、隣接している感度
欠落部分は存在しない。
Aグレード:修正可能なピクセル感度
欠落部が<300個で、隣接している感度
欠落部分は存在しない。

外形寸法図

外形寸法図

技術資料

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