MOPAの“もどかしさ”に終止符。
ファイバーを切らないAO変調(FCAOM)

ファイバーレーザーの変調は、設計の“性格”が出る領域です。とりあえず動く、だけなら選択肢は多い。
でも「狙った波形を、狙った安定性で、狙った実装で」まで踏み込むと、急に道が細くなります。
そこで多くの設計者が頼るのが master oscillator power amplifier(MOPA)構成です。

ただ、MOPAは強力である一方、追い込み始めた瞬間に“もどかしさ”が顔を出します。


MOPAが抱えがちな“もどかしさ”:波形と構成のトレードオフ

MOPAは増幅段を含めて設計の見通しが立てやすく、出力や安定性も取りやすい。
けれど、パルス波形を細かく作り込もうとすると、構成側にしわ寄せが来やすいのが現実です。
狙う仕様によっては、別の半導体シードレーザーシステムが必要になったり、制御系が増えたりして、
部品点数と調整工数が素直に増えていく。波形の自由度とシステムの簡潔さが、綺麗には両立しにくい。
ここが設計者泣かせです。


“ファイバーを切らない”という発想:FCAOMの立ち位置

ファイバーカップルAOモジュレータ(FCAOM)は、ファイバー内部の光を変調するために、
ファイバーを破断せずにAO変調器を挿入するという意図でG&Hが当初開発したアプローチです。
言い換えると、「自由空間に出してから変調して戻す」ではなく、ファイバーのまま機能を足す
これが設計上のストレスを減らします。
ここで効いてくるのが、実装に直結する3点セットです。

  • パワーハンドリング
  • 信頼性
  • 低損失

“よくあるメリット列挙”に見えて、実際はここが一番、コストと納期に効きます。


変調を「直接」握ると、波形の設計自由度が増える

FCAOMは、ファイバーレーザー出力の時間特性をより直接的にコントロールできます。
結果としてパルス波形の選択肢が広がり、「MOPAで頑張って辻褄を合わせる」場面を減らせます。
波形を作るために構成を増やすのではなく、構成を増やさず波形を作る。設計の気持ちよさが違います。


音響光学変調の基本を一段だけ:なぜ周波数がズレるのか

音響光学(AO)効果では、結晶(媒質)内を進む音波が、光から見ると移動する回折格子のように振る舞います。
光はその「動く格子」で回折されるため、一次回折光には次の2つがセットで乗ります。

周波数シフト(音波=RFの周波数成分が“差分”として乗る)
ビーム偏向(回折角に応じて進行方向が変わる)

ここで大事なのは、これは“副作用”というより AO変調の仕様そのものだという点です。
FCAOMでは一次回折モードを使うことで、強度変調に加えて周波数シフトという機能が自然に手に入ります。


「強度変調器」で終わらない:ヘテロダイン用途への拡張

周波数がシフトできるということは、干渉計の世界では一気に話が広がります。たとえばヘテロダイン干渉計では、
参照光と信号光に周波数差を作り、ビート信号として取り出します。
つまりFCAOM(一次回折光)を通すだけで、“周波数差を持った光”を比較的簡単に用意できる。
レーザーの変調用途に限らず、「周波数を扱うための部品」として設計に組み込める余地が出てきます。


可視Fiber-Q:オールファイバーーのまま、バイオ機器を小さくする

最近ラインアップに追加された可視Fiber-Qは、顕微鏡やフローサイトメトリなどのバイオメディカル用途で、オールファイバー機器の小型化に効いてきます。
バイオ機器は「置き場の都合」と「現場運用(頑丈さ・再現性)」が同時に厳しい分野です。
自由空間光学での調整箇所を増やさず、ファイバーのまま機能を追加できる価値は、机上の設計以上に現場で効きます。


まとめ:設計を軽くして、できることを増やすならG&HのFCAOM

MOPAは定番で強い。けれど、波形を攻めるほど構成が太っていく“もどかしさ”もある。
そこに対して、G&HのファイバーカップルAOモジュレータ(FCAOM / Fiber-Q)は、
ファイバーを切らずに直挿しできるという一点で、設計の悩みをかなり素直に解いてくれます。

  • 構成をシンプルにしたい(調整・工数・リスクを増やしたくない)
  • パルス波形の自由度を上げたい
  • 高出力系での運用や信頼性、損失に妥協したくない
  • 周波数シフトも“使える機能”として取り込みたい
  • 可視域で、バイオ向け装置をオールファイバーで小型化したい

このどれかに心当たりがあるなら、検討の起点としてG&HのFCAOMはかなり合理的です。
変調のために装置を増やすのではなく、装置を増やさず変調する。その切り替えが、いちばん気持ちよく実現できます。

「この条件だと、どのモデルが一番きれいにハマる?」となったら、
まずは 波長 / ファイバー種(SM/PM) / 立上り時間 / 変調周波数 だけ決めて、
製品ページのラインアップから当たりを付けるのが早いです。

日本語での仕様整理・型番選定・組み込み相談まで含めて、オプトサイエンスまでお問合せください。
メーカー側の概要や思想(設計の狙い)を先に掴みたい方は、G&HのFiber-Q公式ページも併せて見ると話が速いです。

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