2016年第1 四半期号 ニュースレター

論説

論説

2016年初のニュースレターにようこそ!今号では、テクノロジー業界が巨大化するにつれ、使用可能な量子コンピューターに向けた勢いが増していることについて触れています。Google、マイクロソフト、HP Labs、インテルの一流の科学者たちが1月にカリフォルニア工科大学で開催されたQuantum Summitに招聘され、それぞれ量子コンピューティングに向けた努力に関する講演を行いました。その前月には、量子コンピューター研究のための財政支援に関して、IBMが発表を行いました。また本の数ヶ月前、中国科学技術大学のパン・ジアンウェイ(Pan Jianwei;潘建偉)率いる新しい上海量子計算実験室への投資に関し、Alibabaが公にしました。量子コンピューティング研究のコミュニティは、確実に学究的環境を超えて広がっています。

私たちは、以下の記事にも記載されているように、量子物理学の新境地を開拓するため幅広い量子コンピューティング用途に使用可能な新しい短波任意波形生成器(UHF-AWG)に着手するとともにチームに力を注いでいます。

顧客インタビューでは、カブリ・ナノ科学研究所の優れた量子情報技術科学者であるゲーリー・スティール氏を特集しています。 また、私たちはMFLIプラットフォーム用の電流・電圧デジタイザに着手しました。このデジタイザは、LabOne制御ソフトウェアに完全に統合されます。LabOneをご利用になったことのない方のために、必要な情報を満載した新しいビデオLabOneクイックスタート・ガイドをご用意いたしましたので、ぜひご覧ください。

新製品:統合検出機能搭載 AWG

新製品

UHF-AWG

  • 2チャンネル
  • 1.8GSa/s、14ビット
  • 128 MSa 波形メモリ

量子コンピューティングの研究者たちのニーズを満たすため、Zurich Instrumentsでは、1.8 GSa/sの時間軸と14ビットの垂直分解能を備えた128 MSa波形メモリで構成される2チャンネル式任意波形生成器(AWG)の開発を行い、発売にこぎつけました。これは、Zurich Instruments(ZI)の実績のある極超短波(UHF)600 MHzのプラットフォームから作られています。 UHF-AWGは、複数の内部検出スキームの選択をサポートする唯一の既製の機器です。これには、パルスカウント、復調、デジタイザが含まれ、さらにそれらを組み合わせる能力も搭載しています。内部検出スキームは、量子エラーの修正など厳しい用途に必要とされる最小の信号遷移時間(< 1 µs)で洗練されたシーケンス型分岐プロトコルをサポートします。

AWGは、LabOne機器制御ソフトウェアに統合され、実験主義者の迅速な開始を可能にし、時間とともに研究期間をより効果的なものにすることができます。さらにLabOneには、実験主義者に対し迅速にシーケンスのカスタマイズを可能にする高レベルのコマンドに対応するAWGスクリプト言語が搭載されています。さらに、LabOneユーザインターフェースのパラメトリックスイープでは、シーケンスが定義され次第、容易に測定の自動化が可能となります。

UHF-AWGでは、必要な波形の複雑性を軽減し、プログラミング時間を短縮する振幅変調(最大8個の内部信号生成器)として標準的な波形プレイバックがサポートされています。これにより、素早く交互に切り替える能力をサポートし、異なる周波数にわたり位相コヒーレンスを確保します。量子コンピューティング用途で必要とされると同時に、これらの機能は混合信号機器試験や核磁気共鳴(NMR)光学に応用することも可能です。

高速復調との組み合わせ、最高5 MHzの帯域幅、多様な波形分岐のサポートにより、AWGが回路の量子電磁力学や同様の量子コンピューティング用途にとって最適なものとなります。

捕捉イオン量子コンピューティングなど、復調ステップが不要な用途に対しては、波形出力を検証する2個の信号入力を使用する基本的なAWG設定が適切と言えるでしょう。ZIがお届けするすべてのUHF機器と同様に、購入後、機能性を向上させるためにUHF-AWGでパスのアップグレードを簡単に行うことができます。

詳細に関してはお問い合わせください。

顧客インタビュー:ゲーリー・スティール(Gary Steele)

ゲーリー・スティール(Gary Steele)氏

ゲーリー・スティール(Gary Steele)氏(Researchgate)は、デルフト工科大学のカブリ・ナノ科学研究所で量子ナノ科学のMEDグループ部門内のスティール研究所を率いています。

こんにちは、ゲーリーさん!私たちは、オランダのデルフトで2016年1月後半に開催されたScaleQIT International Conference 2016で量子情報技術における最新の研究を展示していました。技術的な問題に立ち向かう量子現象の素晴らしさをお聞かせください。

そうですね、私たちの場合、物理学で何か面白いことをするために量子技術を酷使していると言えるかもしれません。

ゲーリーさんの実験では、ナノ機械共振器と高品質長半導体マイクロ波共振器を合わせていらっしゃいますが、この組み合わせから興味深い効果は得られましたか?

私たちは振動する物体の動きを非常に高精度で検出するために超伝導機器を使用し、最終的に量子の基底状態で測定します。そこから始めて、任意の量子重ね合わせ状態をプログラムします。誰も運動の量子状態を見たことはありません。いわば未知の領域です!

別の可能性は、振動する物体をセンサとして使用することです。例として、先端と表面の間の分子間力を測定するために力学的なカンチレバーを使用する原子間力顕微鏡が挙げられます。官能基化された先端から始め、電気または磁場の測定にそれと同じAFMを使用することができます。力に対する精密なセンサがある場合には、多数のパラメータのために精密なセンサを簡単に入手できます。

お話をお伺いすると、こういった場所で機器類が使用されるんですね。どのような時間規模でこのようなことが起こると考えていますか?

難しい質問です。実際のところ、私たちのグループではマイクロ波光子を光学光子に変換するためにナノメカニカルシステムを使用するなど、別のことに集中したいと考えています。長距離における光学光子を容易に転送できるため、興味がそそられますね。ここ最近、目覚しい進展があり、この転換が証明されました。その証明に基づき、マイクロ波光子を伴った量子ビットもつれを想定し、光学光子に転換した上でファイバーに転送することができるようになります。

量子インターネットを通じてですね!

…そして日本には衛星を経由してです!

測定にはHF2LI 50 MHzロックインアンプを使用しているそうですが、どの機能が役立ちますか?

カーボンナノチューブの測定にHF2LIを使用していますが (応用物理レター (2013), 107, 053121 & ネイチャーコミュニケーション (2014), 5, 5819)、この測定にはアナログミキサを使用することができ、私たちも使用していましたが、非理想のミキサがどうしても信号を乱雑な側帯に「増大」させます。HF2を使用することにより、より理想に近い状態でデジタルドメインですべてのフィルタリングとミキシングを行うことができます。HF2LIはプラグを差し込んで測定を開始するだけなので、そこにはアナログの設定に費やす半年ほどの差が生じます。その他、信号式の測定を迅速化が可能になるため、時定数を800 nsに低減するのに役立ちます。

オランダの気候で気に入っているところを教えてください。

ほぼ常に気候はよくありませんが、だからこそ好天に恵まれたときのありがたみも大きいですね。ですから明るく晴れた日には幸せな気分になれるんです。

新しいビデオ:LabOneクイックスタート・ガイド

LabOneクイックスタート・ガイド

今年始めに販売が開始された最新リリース版のLabOneでは、あらゆる機器のプラットフォーム(MFLI, HF2LI, UHFLI)をこの革新的な制御ソフトウェアを使用して制御することが可能です。

ZI 社の最新ビデオ「クイックスタート・ガイド」では、新しいユーザーの皆様に向けてパオロ・ナバレッティ(Paolo Navaretti)がLabOneユーザインターフェースを使用して初めて測定を行う際の設定方法を説明します。

新製品 II:MF-DIG、初の電流・電圧デジタイザ

MF-DIG、初の電流・電圧デジタイザ

Zurich Instrumentsでは、MFLI 500 kHz/5 MHzロックインアンプ・シリーズにデジタイザを導入しました。MF-DIGデジタイザにより、2つの信号入力、電流入力、差動電圧入力からの低ノイズ・データストリームへの直接アクセスを可能にします。最高のSNRを実現する複数の入力範囲を備えた最先端のアナログ・フロントエンドとの組み合わせによる最大サンプリングレート60 MSa/sで16ビットの垂直分解能。サンプリングレートを軽減することにより、追加の平均化や公称分解能最大24ビットまでの増幅が可能になります。

2チャンネル・スコープのショットあたり最大2.5 MSaで波形をレコード・視覚化を便利にするため、MF-DIGがLabOneユーザインターフェースに完全に統合されます。高速トリガ発生で最大1024メモリ・セグメントを利用することができます。2つのチャンネルが同時にストリーミングされる場合、アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)に対する連続ストリーミング・レートが、それぞれ3.75 MSa/sまたは1.75 MSa/sで単一チャンネルをサポートします。

内部トリガ・エンジンの完全に実装することより、ユーザーは幅広いトリガ・チャンネルの選択が可能になり、ドメイン共通のトリガを利用することができます。信号条件に基づく入力ストリームのレコードを復調データストリームで定義することができます。


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