ファイバレーザのご紹介
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産業用途におけるレーザ応用の経過
過去15年以上に渡って CO2レーザとYAGレーザ(ランプ励起方式)は製造業の工場で用いられています。CO2レーザは加工用として広範囲な応用がありますが、ランプ励起YAGレーザは高反射率の金属に対する切断、溶接、マーキング等用途の1µm市場に用いられています。
LD励起YAGレーザはランプ励起YAGレーザやCO2レーザの市場を取って代わるべく挑みましたが、以下の2点の理由により、あまり良い結果が得られておりません。

- 初期のLDの信頼性が低かった事
- レーザの特性に対する市場からの応用に対する要求LD励起YAGレーザの高い価格を受け入れる程高いモノではなかった。
2003年度の産業用途向けレーザ(エキシマレーザを除く)の市場占有率を以下に示します。
ファイバレーザは理想的な時期に製品市場に登場しました。
加工性能に対する要求が一層厳しくなり、その結果 レーザの性能に対する要求は一層高くなっております。一例を挙げると以下のようです。
- より小さなスポットサイズが 高精細な加工応用分野から要求されています。
- より高い出力が より高い加工のスルーップトを得る為に要求されています。
- レーザの停止時間(MTBF,MTBM)を短くする事が要求されています。
ファイバレーザの信頼性と特性は今日の産業界からの要求(上記3点)に適合しています。
そのファイバレーザの特性を以下に示します。
- M²~1でファイバ導光が出来る1µm出力のレーザである。
- 単一のLMA(Large Mode Area)ファイバから1kWを越える出力が得られる。
- 3万時間以上の予測寿命
LDの価格の低下がファイバレーザを従来に比べよりコスト競争力を強くしています。
ファイバレーザとは(クイックビュー)
Ybガラスファイバを例として取り上げ、ファイバレーザを簡単に紹介します。
ダブルクラッドファイバの屈折率分布とファイバの構造を模式化した図を左に示します。
高出力ファイバレーザの希土類元素
(例:Yb, Er, Er:Yb, Tm, Nd等)をドープしたコアはマルチモードLDを用いてダブルクラッドファイバを通して励起されます。
励起光はインナークラッド内に集光し、ファイバの中を伝搬します。コアにドープされる希土類元素をYbとすると励起光に対するレーザ光の光/光変換効率は~80%です。
ファイバレーザの構成を模式的に示すと以下の様になります。

励起用のLD光源としては単一エミッタ、バー、スタックが用いる事が出来ます。
LD光は単一のファイバケーブルか励起光コンバイナをとおしてレーザ共振器内に導かれアクティブゲインファイバを励起します。 FBG(Fiber Bragg Grating)がレーザ共振器の全反射ミラーや出力ミラーとなります。ファイバレーザのデザインはモノリシック構造に出来る事であり、自由空間に光学素子がない事です。
ファイバレーザの構成を左図の様に考えると ファイバレーザは異なった波長にはなりますが、LD光の「ビーム整形器」とか「輝度変換器」と考える事が出来ます。
ファイバレーザの優位性
ファイバレーザの優位性を纏めると以表の様になります。
| 特 長 | 利 点 |
| 高効率LD励起動作 (30-40% 壁コンセント効率) |
低いCOO (Cost Of Ownership) (service requirements) |
| 簡単な熱の取り扱い | 冷却の要求が少ない (空冷動作) |
| 堅牢で信頼性の高い 全ファイバモノリシック構造設計 |
メンテナンス頻度が低い 調整する共振器光学素子が無い |
| 優れたビーム品質 M² ~1, TEM00 | 小さな集光径 深い焦点深度 |
| 高出力 1ミクロン出力 | ファイバ導光で出力を直接加工対象の近くまで伝送 |
| 小型で軽量 | 設置面積が小さい 搭載が容易で稼動テーブルにも搭載可能 |
ファイバレーザの優位性(1):効率
変換効率については下表から明らかにファイバレーザが秀でています。その特有な高い変換効率は他の通常のレーザの効率とは比較にならない程高い値です。
| Laser | Optical-optical efficiency | Wall plug efficiency |
| Lamp-pumped YAG | 4% | 1% |
| Diode-pumped YAG | 40-50 % | 6% |
| Yb:YAG Disk | 40-50 % | 20% |
| CO2 | N/A | 10% |
| Yb:Glass fiber | >75% | 30- 40% |
「なぜLD励起レーザは光/光変換効率が高いのでしょうか?」
YAG結晶の吸収スペクトルとフラッシュランプとLDの発光スペクトルを左図に示します。
従来のランプ励起YAGレーザでは全発光のほんの一部の波長の光だけがYAG結晶に吸収され、励起に寄与するだけであり、YAG結晶の吸収波長に一致する波長で励起できるLD励起のYAGレーザの効率はより一層高くなります。
ランプの発光は非常に広い波長に渡っており、殆どレーザロッドに吸収されませんし、むしろ熱に変換されてしまいます。
(LD励起レーザとはNd:YAG, Nd:YLF, Nd:YVO4, ファイバレーザ, ディスクレーザを含んでいます。)
「なぜLD励起ファイバレーザは、ランプ励起やLD励起の固体レーザより効率が良いのでしょうか?」
通常のランプ励起やLD励起の固体レーザとファイバレーザの構成を模式化した図を以下に示します。
ランプ励起やLD励起の固体レーザでは励起エネルギーは相対的に小さな結晶(レーザ活性媒質)内に集光されます。
高励起レベルにおいては結晶の温度が上昇し、発生するレーザ光の効率は低くなります。
ファイバレーザでは励起光の吸収は長いファイバ(10mのオーダー)内に渡って分布され、吸収されます。
励起光はファイバの中を全反射する為 殆ど損失はありません。(ファイバ内の損失は10dB/km以下であり、非常に低い値です。)
発生する全ての熱は「細い」ファイバから放射されます。
Nd:YAGレーザとYb:ファイバレーザのエネルギー順位図を下記に示します。
励起エネルギーと発光エネルギーの差である量子欠損は Ybを活性元素とするファイバレーザにおいては比較的小さく、殆ど熱は発生しません。
ファイバレーザ内の励起フォトン当たり発生する熱は非常に僅かです。これは発振効率が高い事を意味しています。
ファイバレーザの優位性(2):励起波長と発振波長のフレキシビリティが高い
Ybガラスファイバの吸収スペクトルと発光スプクトルを下図に示します。

Ybガラスファイバは915nm、940nm、976nmで発振するLDで効率よく励起できます。LDとしては シングルエミッタ、ダイオードバー、およびより高出力のダイオードスタック等が使えます。
非常に広いYbガラスの吸収帯は 広い半値幅で発光する水冷などの冷却が不要なLDを励起用として用いる事が出来る事を意味します。(これは安価なLDが使える事を意味しています。)
Ybガラスファイバの広い利得帯域は1030nmから1120nmの間の何処でも発振させる事が出来ます。
ファイバレーザの優位性(3):冷却の要求が少ない
ロッド型Nd:YAGレーザを例に取り、下図を用いて冷却について説明します。
ロッド型等のバルクレーザでは大きな熱不可(熱誘起レンズ効果)は出力ビームの品質劣化を避ける為、注意深く制御しなければなりません。ですからこの種のレーザにおいては自由空間に光学素子を配置するので温度変化に伴うミスアライメントに敏感です。 高出力のランプ励起やLD励起の固体レーザは これらの効果を保証する為 注意深く冷却の方法を検討し、設計しなければなりません。
これらの課題は ファイバレーザでは存在しません。
ファイバレーザの優位性(4):高い信頼性
ファイバレーザのモノリシックな全ファイバ構造は アライメント敏感な調整機構を配置し、自由空間に曝された光学素子を用いた従来のレーザと比較すると本質的に高い信頼性があります。よって、ファイバレーザのビーム品質はレーザの寿命となるまで変化しません。
左にファイバレーザの外観と構成の模式図を示します。
ファイバレーザの構造はモノリシックです。レーザ全てがファイバです。利得媒質はドープされたコアです。励起チャンバーはファイバのクラッドです。出力ミラーと全反射ミラーはファイバコア内に書き込まれたブラッグ・グレーティングです。励起用LDのピッグテールファイバはアクティブファイバ(共振器)に直接融着出来ます。
このモノリシック構造がファイバレーザの高い信頼性の源です。
CO2レーザを越えるファイバレーザの優位性
CO2レーザの様な長波長の光は 銅、金、銀等高反射の金属によって効果的に反射されます。マーキング等では 波長の短いレーザ光を用いて効果的に加工されますので 1µmが発振波長であるファイバレーザはマーキングのための有効なレーザとなります。マーキング加工例を右図に示します。
ファイバレーザの光学的な特性は次のようです。
- 1µmにてM²~1のビーム出力なので 集光点でより小さなスポットサイズにできる。
- 最小スポット径=1.27×f×波長×M²/D である。
f:レンズの焦点距離、 D:レンズでのビーム径
| CO2 Lasers | Yb:Glass Fiber Laser | |
| Minimum spot size D=25 mm, f=300 mm, f/12 |
323 microns | 16 microns |
| Minimum spot size D=25 mm, f=100 mm, f/4 |
107 microns | 5 microns |
ファイバレーザでは より小さく集光でき、出力ビームはより高いパワー密度と高分解能な加工をより高速で実現する事が出来ます。また より小さなスポットサイズがそんなにビームを拡大しなくても得られます。結果として、レンズ径が小さく、安価なレンズを用いる事が出来ます。またマーキング装置で考えると 高速でより小さくあまり高くないガルバノミラーが使用できる事になります。
ファイバレーザは焦点深度が CO2レーザの10-30倍長く(深く)なります。
集光されたビームは最初レンズの焦点面に集められ その後再度広がっていきます。焦点深度はレーリー領域によって記述され、レーリー領域は集光されたビーム径の2倍の値で、以下の様になります。
![]()
λは波長であり、CO2レーザでは10,600nm、Ybガラスファイバレーザでは1,080nmであり、ω0はビーム半径です。
上記公式から 波長が短くて M²が1に近いほど 焦点深度が増加する事が判ります。両方のパラメータともファイバレーザには有利な数値です。
焦点深度が長いと言う事は レーザ強度が高い焦点の領域が広い範囲に渡って維持できるという事であり、次の様な種々の良い点が出てきます。
- 加工用レンズはワークから距離を離して加工できます。
- より小さなカーフ幅でより厚いワークの加工が出来ます。
- ワークの表面や厚さが不均一でも良好な加工が出来ます。
- 加工中のワークから発生する熱、反射光、飛散物から光学系を保護する為の光学設計を省く事が出来る。
- 自由空間伝送光学系をクリーニングする事や交換する等のメンテナンスを省く事が出来る。
ファイバレーザの優位な点として ビームパラメータ積(BPP)と焦点深度
レーザビームが何処まで狭く集光できるかとその焦点深度がビーム品質の関数となります。ビーム品質は一般にビームパラメータ積(BPP)を使って定量化されます。BPPはビームウェストの半径ω0とビームの発散角の半値全幅θの積として定義されます。
BPP = ω0×θ = コンスタント
BPPはM²と波長を用いても定義できます。
BPP = M²×λ/π(mm mrad)
また、重要な公式として与えられた集光スポットサイズに対して焦点深度DOFは、BPPを用いて記述できます。
DOF = 2×ω02/ BPP
各種レーザのBPPと焦点深度を表にしました。ファイバレーザが如何に優れているか一目瞭然です。
| CO2Lasers | Lamp-pumped Nd:YAG |
Diode-pumped Nd:YAG |
Yb:YAG Disk | Yb:Glass Fiber | |
| BPP | 6 mm.mrad | 25 mm.mrad | 12 mm.mrad | 6 mm.mrad | 0.34 mm.mrad |
| DOF (mm) at given focused spot size | |||||
| 400 microns | 13.3 mm | 3.2 mm | 6.6 mm | 13.3 mm | 235 mm |
| 200 microns | 3.3 mm | 0.8 mm | 1.6 mm | 3.3 mm | 58.8 mm |
ランプ励起YAGレーザを越えるファイバレーザの優位性
ファイバレーザがランプ励起YAGレーザを越える優位性を持つ点を紹介します。
- より良いビーム品質
- ファイバレーザのM²~1であるのにランプ励起ではM²~50(出力100Wでの比較)
- 集光性が良い 小さな集光径
- 焦点深度が深い(大きい)
- 効率が30倍良い
- 熱の取り扱いが簡単 -冷却の要求がより小さい
- 専有面積が1/10
- 低いCOO (Cost Of Ownership) -より長いMTBM
- 寿命が長い
- 信頼性が高い -より長いMTBF
LD励起YAGレーザを越えるファイバレーザの優位性
ファイバレーザがLD励起YAGレーザ(DPSSL)を越える優位性を持つ点を紹介します。
- より良いいビーム品質
- ファイバレーザのM²~1であるのに LD励起ではM²~20(出力100Wでの比較)
- 集光性が良い 小さな集光径
- 焦点深度が深い(大きい)
- 効率が5倍良い
- 熱の取り扱いが簡単 -冷却の要求がより小さい
- 専有面積が1/6
- 低いCOO (Cost Of Ownership) -より長いMTBM
- 寿命が長い
- 信頼性が高い -より長いMTBF
- 装置導入費用が安い
ファイバレーザの優位性 (まとめ)
ファイバレーザの優れた点について表にまとめると以下の様になります。
| 1kW | CO2 | Nd:YAG (lamp) | Nd:YAG (diode) | DISK | FIBER | DIRECT DIODE |
| Wavelength | 10.6µm | 1.06µm | 1.06µm | 1.07µm | 1.07µm | 800-980 nm |
| Minimum spot size (2mm i/p beam, f=100mm) | 107µm | 400µm | 200µm | 96µm | 5µm | 1.6mm |
| BPP (mm.mrad) | 6mm.mrad | 25mm.mrad | 12mm.mrad | 6mm.mrad | 0.34mm.mrad | 200mm.mrad |
| M² | 2 | 73 | 37 | 18 | 1 | 800 |
| Wall plug efficiency | 10% | 1% | 6% | 15% | 30% | 50% |
| Fiber Deliverable? | NO | YES | YES | YES | YES | YES (1mm+fibers) |
| Replacement | Optics 2000hrs, Gas 20000hrs |
Lamps 500hrs, Optics 2000hrs |
Diodes 10000hrs, Optics 2000hrs |
Diodes 10000hrs, Optics 2000hrs |
Diodes 10000hrs | 10000hrs |
| Footprint | 100sq.ft | 100sq.ft | 60sq.ft | 40sq.ft | 10sq.ft | 2sq.ft |
| Price Ratio /W @2006 | >.2 | 10.5 | 20.6 | 17.7 | 13.6 | 1 |
ファイバレーザの市場への浸透(利用例) - マーキングへの応用
- ファイバレーザ応用の具体的な優位点
- 壁コンセント効率が高い
- 空冷
- 長寿命
- 低いCOO (Cost Of Ownership)
- 競争力のある導入コスト
- 10~20W連続出力発振 および高繰返しQスイッチ発振が用いられている

ファイバレーザの市場への浸透(利用例) -印刷への応用
- ファイバレーザ応用の具体的な優位点
- 焦点深度が長い(深い)ので加工物表面の不均一性に敏感でない
- 出力安定度が良い
- TEMooモード、M²~1
- 10-20Wの連続出力赤外ファイバレーザが用いられている

ファイバレーザの市場への浸透(利用例)-Rapid Prototyping-レーザ焼結
- ファイバレーザ応用の具体的な優位点
- 10.6µmのCO2レーザに比べ1µmのファイバレーザでは物質との相互作用が良い
- より小さな集光径のため高い分解能
- 小さなスキャニングミラーが利用できる
- 効率の良い空冷動作
- 小さな専有面積と占有体積
- 20~200W連続出力1µmファイバレーザ
(著作:Dr.Andy Held / Nufern)
オプトサイエンスが取り扱っているファイバレーザおよび関連製品
この「ファイバレーザのご紹介」では 主に加工などの用途に用いる連続発振や高繰返し発振のYbファイバを用いたファイバレーザを例に用いてご紹介致しましたが、下記の様な計測に用いるp秒出力ファイバレーザや通信用途のファイバレーザも取り扱っております。また ファイバレーザ発振器や増幅器の開発に必要な部品も取り扱っております。お気軽にご相談下さい。
ファイバレーザ
- NUFERN:CWファイバレーザモジュール、サブアセンブリ
- QIOPTIQ:可視光ファイバレーザ
- MPB Communications:L帯・C帯Erファイバアンプ、Er-Ybファイバアンプ
ファイバレーザ用各種部品 および 製造設備
- NUFERN:希土類添加(Yb, Nd, Yb;Er, Er, Tm等)ファイバ(各種コア、クラッド径有り)
各種レーザ導光用ファイバなど
- NKT Photonics:フォトニックファイバ(ホーリファイバ)各種
- Gooch & Housego, NEOS:ファイバ付きAO Qスイッチ
- itf Labs:励起光コンバイナ、タップ、MZ等各種ファイバ融着関連部品
- 松下寿電子工業:励起用LD(ピッグテールファイバ付き)
その他 FBG、ASEフィルタ、アイソレーター、パンプダンプ、モード径変換ファイバ、超低比率TAPカップラ、MZ(マッハチェンダー)等多数の部品も取り扱っております。高出力用も有ります。是非お問い合わせ下さい。
- VYTRAN:大口径ファイバ切断機、融着器、リコータ等
ご質問は、電話:03-3356-1064 迄ご連絡いただくか、もしくはEメールにて
へお問い合わせ下さい。
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