- 1. ファイバーレーザーとは(クイックビュー)
- 2. ファイバーレーザーの優位な点として、ビームパラメーター積(BPP)と焦点深度
- 3. ランプ励起 YAG レーザーを越えるファイバーレーザーの優位性
- 4. LD 励起 YAG レーザーを越えるファイバーレーザーの優位性
- 5. ファイバーレーザーの優位性(まとめ)
ファイバーレーザーとは(クイックビュー)
Yb ガラスファイバーを例として取り上げ、ファイバーレーザーを簡単に紹介します。
ダブルクラッドファイバーの屈折率分布とファイバーの構造を模式化した図を左に示します。
高出力ファイバーレーザーの希土類元素(例:Yb, Er, Er:Yb, Tm, Nd など)をドープしたコアはマルチモードLDを用いてダブルクラッドファイバーを通して励起されます。
励起光はインナークラッド内に集光し、ファイバーの中を伝搬します。
コアにドープされる希土類元素を Yb とすると励起光に対するレーザー光の光 / 光変換効率は~80% です。
ファイバーレーザーの構成を模式的に示すと以下のようになります。
励起用のLD光源としては単一エミッタ、バー、スタックが用いることができます。
LD光は単一のファイバーケーブルか励起光コンバイナをとおしてレーザー共振器内に導かれアクティブゲインファイバーを励起します。
FBG(Fiber Bragg Grating)がレーザー共振器の全反射ミラーや出力ミラーとなります。
ファイバーレーザーのデザインはモノリシック構造にできることであり、自由空間に光学素子がないことです。
ファイバーレーザーの構成を左図のように考えると ファイバーレーザーは異なった波長にはなりますが、LD 光の「ビーム整形器」とか「輝度変換器」と考えることができます。
ファイバーレーザーの優位な点として、ビームパラメーター積(BPP)と焦点深度
レーザービームが何処まで狭く集光できるかとその焦点深度がビーム品質の関数となります。
ビーム品質は一般にビームパラメーター積(BPP)を使って定量化されます。
BPP はビームウェストの半径ω0とビームの発散角の半値全幅θの積として定義されます。
BPP = ω0×θ = コンスタント
BPP は M² と波長を用いても定義できます。
BPP = M²×λ/π (mm mrad)
また、重要な公式として与えられた集光スポットサイズに対して焦点深度 DOF は、BPP を用いて記述できます。
DOF = 2×ω02 / BPP
各種レーザーの BPP と焦点深度を表にしました。ファイバーレーザーが如何に優れているか一目瞭然です。
CO2 Lasers | Lamp-pumped Nd:YAG |
Diode-pumped Nd:YAG |
Yb:YAG Disk | Yb:Glass Fiber | |
---|---|---|---|---|---|
BPP | 6 mm.mrad | 25 mm.mrad | 12 mm.mrad | 6 mm.mrad | 0.34 mm.mrad |
DOF (mm) at given focused spot size
CO2 Lasers | Lamp-pumped Nd:YAG |
Diode-pumped Nd:YAG |
Yb:YAG Disk | Yb:Glass Fiber | |
---|---|---|---|---|---|
400 microns | 13.3 mm | 3.2 mm | 6.6 mm | 13.3 mm | 235 mm |
200 microns | 3.3 mm | 0.8 mm | 1.6 mm | 3.3 mm | 58.8 mm |
ランプ励起 YAG レーザーを越えるファイバーレーザーの優位性
ファイバーレーザーがランプ励起 YAG レーザーを越える優位性を持つ点を紹介します。
-
より良いビーム品質
- ファイバーレーザーの M²~1 であるのにランプ励起では M²~50(出力 100W での比較)
- 集光性が良い、小さな集光径
- 焦点深度が深い(大きい) - 効率が 30 倍良い
- 熱の取り扱いが簡単-冷却の要求がより小さい
- 専有面積が 1 / 10
- 低い COO(Cost Of Ownership)-より長い MTBM
- 寿命が長い
- 信頼性が高い-より長い MTBF
LD 励起 YAG レーザーを越えるファイバーレーザーの優位性
ファイバーレーザーが LD 励起 YAG レーザー(DPSSL)を越える優位性を持つ点を紹介します。
-
より良いビーム品質
- ファイバーレーザーの M²~1 であるのに LD 励起では M²~20(出力 100W での比較)
- 集光性が良い、小さな集光径
- 焦点深度が深い(大きい) - 効率が5倍良い
- 熱の取り扱いが簡単-冷却の要求がより小さい
- 専有面積が 1 / 6
- 低い COO(Cost Of Ownership)-より長い MTBM
- 寿命が長い
- 信頼性が高い-より長い MTBF
- 装置導入費用が安い
ファイバーレーザーの優位性(まとめ)
ファイバレーザの優れた点について表にまとめると以下の様になります。
(著作:Dr.Andy Held / COHERENT | NUFERN)