積層導波路は光ファイバーとよく似て決まった行路に沿って光を導光することができます。導波路は平面基板表面上もしくは表面に沿った基板内部に作られ、電気光学効果(EO)変調器においては、この基板の特性が導波路の特性を決めています。
導波路は周囲の物質と比べ屈折率が高くした通路(channel)から出来ています。光はチャンネルの壁面を全反射しながら導光されます。波長や基板の屈折率に依存しますが、屈折率が増加すると 1つ以上の横モードが伝搬できる様になります。単一横モードでの動作は多くの積層導波路型光素子の機能を良く表している為、非常に重要です。積層型光素子は特に光通信技術においては、光ファイバーと結合されます。光ファイバーと良い結合効率を達成する為に、使用波長にもよりますが、単一モード導波路は幅3μm、深さ9μmです。積層型光導波路を使って Y分岐路、偏光子、位相変調器や振幅変調器、光スイッチ、波長マルチプレクサー等のいろいろな光素子を作る事が出来ます。
電気光学効果について
ポッケルス効果として良く知られていますが線形電気光学効果は、外部電場が印加されると光学媒質の屈折率が変化します。屈折率の変化量は、印加されている電界強度、光の進行方向や偏光に比例します。この相互作用は電気光学テンソルで記載され、殆どは異方生です。この効果は、磁気電気光学結晶も含め強誘電体結晶において発生します。ニオブ酸リチウム(LiNbO3,リチュームナイオベート)とKTP(KTiOPO4、Potassium Titanyl Phosphate)は積層光学素子において重要な物質です。これらの結晶では、結晶z軸方向における外部電解(E3)と屈折率n3のz軸に偏光した光との間で最も強い相互作用が生じ、次式で記載されます。
電気光学係数r33はLiNbO3では33pm/V、KTPでは36pm/Vとなります。定義された機能は直線偏光の場合に用いられます。
位相変調器
長さ L の導波路に全体に均一な電場が印加されると導波路を通過する光の位相が変化します。導波路はその断面が非常に小さいため、均一な電場を形成する電極を配置するのは不可能です。このため、結晶の表面上に平行に配置した電極が良く用いられています。位相変調器の構成を左図に示します。この電極構造では 1より低い効率“Γ”の不均一な電場分布を作ることが出来ます。位相シフトの良い近似値が次式で与えられます。
πの位相シフトを発生できる半波長電圧Vπは 次式で与えられます。
この半波長電圧は通常数ボルトです。低い制御電圧や工夫された電極構造を用いるため電気/光応答が非常に早く取れ、GHz領域の変調周波数を達成することが出来ます。
振幅変調器
振幅変調器として構成するために、位相変調器が積層型マッハチェンダー干渉計内に配置されます。マッハチェンダー型振幅変調器の構成を左図に示します。両ブランチに位相差を発生する様に電圧を印可すると干渉により素子の出口で出力パワーの変化が発生します。素子の透過率は最小値(Pmin)と最大値(Pmax)の間で制御可能です。
出力パワーは次式で示される様に電圧に依存します。
光の透過状態からオフの状態にするには、またオフ状態から透過状態にするには、半波長電圧を印可する必要があります。プシュプル電極配置を用いる事により電極の長さは半分になります。動作ポイントは理論値Vo=0から変わります。その値は特殊な電極により制御可能です。
[機種選択のための基準]
LiNbO3やKTP結晶を基板とする積層型導波路光変調器がご利用頂けます。機種の選択はご利用になる応用により異なってきます。
波長;LiNbO3結晶基板は赤外から可視の領域で使用可能です。振幅変調器は1000:1以上の消光比を実現できます。必要とする透過率が低くても良ければLiNbO3結晶基板は緑色領域でも使用でき、消光比1000:1も達成可能です。KTP結晶基板は青・緑色領域で用いる変調器利用されていますが、消光比は低くなります。
利用可能な波長帯域;使用可能な波長帯域(光波長の帯域)は用いられる基板の材質と中心光波長に依存します。シングルモード動作と仕様で決められた変調がこの領域で保証されます。LiNbO3結晶を用いた振幅変調器の場合帯域の目安は緑で20nm、赤で50nm、近赤外で100nmです。KTP結晶を基板に用いた振幅変調器の場合 利用可能な帯域の目安は、青・緑で80nm、赤で150nmとなります。位相変調器はより広い光帯域にてご利用可能です。
偏光;仕様で決められた変調器の動作を得るには入射光として直線偏光が必要になります。LiNbO3結晶の導波路は偏向していますので、入射光が直線偏光でない場合は透過損失が発生します。KTP結晶を用いた導波路においては偏向していませんので、両偏光成分に異なった半波長電圧変調されます。それ故、偏光が精密に制御されていないと消光比が低下します。
光パワー(CW動作時);透過可能な光出力パワーは用いる基板材料と光波長に依存します。1μm以上の波長では0.5Wまで素子に入力可能ですが、赤領域では50mW、緑領域では10mWが入射可能な光パワーとなります。KTP結晶を用いた変調器では赤領域で100mWまで、緑領域で50mWまで入射させる事が可能になります。
光のコヒーレンス度;半波長電圧は光波長に依存するので、変調器は1つの波長において動作する様に設計されています。振幅変調の場合には波長幅(光の帯域)が広がると消光比が低下します。例として15nmの帯域の光では消光比は100:1になります。
ファイバー結合とケース;変調器はピッグテール用ファイバーを取り付けて作られています。入射端は偏波面保持ファイバーが使用されています。出力ファイバーは偏波面保持ファイバーを通常用いていませんが、御要求によりご利用頂けます。変調器はベアファイバー、コネクター付き、FCコネクター付きなどで納入可能です。
制御回路;御要求により製造可能です。
積層導波路型光変調器(ファイバーピグテイル) 技術資料 304KB
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